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ほうじ茶完全ガイド: 香ばしさの秘密、低カフェインの理由、おいしい淹れ方

10 min readSteep Team
ほうじ茶完全ガイド: 香ばしさの秘密、低カフェインの理由、おいしい淹れ方

抹茶が日本茶の鮮やかな「表の顔」だとすれば、ほうじ茶はその対極にある、静かで香ばしい存在です。栗色になるまで焙じられた茶葉、赤みがかった琥珀色の水色、トーストや煎った木の実、ほのかなキャラメルを思わせる味わい。緑茶特有の青々しさも渋みもほとんどなく、カフェインもごくわずか。日本のお茶の中でいちばん肩の力が抜けた一杯かもしれません。そして長らく抹茶の陰に隠れてきたこのお茶が、いま海外で人気急上昇中です。ほうじ茶の検索数は右肩上がりに伸び、抹茶がすでに浸透した世界中のカフェのメニューに「ほうじ茶ラテ」が並び始めています。

面白いのは、ほうじ茶がもともと華やかさとは無縁のお茶だったことです。1920年代頃の京都で、売れ残った茎や硬い葉を前にした茶商が、捨てる代わりに炭火で焙じてみたのが始まりとされています。焙煎は安価な原料をまったく新しいお茶へと生まれ変わらせ、その倹約の精神は今もほうじ茶の性格に息づいています。食堂で当たり前のように出され、子どもからお年寄りまで、夜にも気兼ねなく飲まれる日常のお茶。本ガイドでは、ほうじ茶とはそもそも何か、抹茶や煎茶とどう違うのか、なぜカフェインが少ないのか、そしてホット、アイス、ラテそれぞれのおいしい淹れ方まで解説します。

ほうじ茶とは何か

ほうじ茶は特別な品種でも、独立したお茶の分類でもありません。元はごく普通の日本の緑茶、多くは番茶や茎茶、ときには煎茶を原料に、そこへ決定的なひと手間が加わります。高温での焙煎です。伝統的には焙烙にのせて炭火で、現在は回転式の焙煎ドラムで200℃前後で焙じるのが一般的です。

この焙煎がすべてを変えます。緑の葉緑素の香りは消え、葉は茶色に変わり、焼きたてのパンや焙煎コーヒーの香りを生むのと同じ化学反応が、香ばしくナッツのような、ほんのり甘い風味を新たに作り出します。緑茶を尖らせる渋みのもとであるカテキンも大幅にやわらぐため、ほうじ茶はあれほどまろやかなのです。緑茶の青臭さや苦みがどうしても苦手だったという人にこそ向いている緑茶と言えます。

日本茶の家系図の中に置いてみると、その個性がよくわかります。日本の緑茶のほとんどは釜炒りではなく蒸し製で、煎茶や新茶の鮮烈で青々しいフレッシュさはそこから生まれます。ほうじ茶はその蒸した茶葉から、あえてフレッシュさを焙じ飛ばし、明るさの代わりに温かみを手に入れたお茶です。焙煎によって定義される唯一の主要な日本茶であり、煎茶の兄弟というより「秋の煎茶」とでも呼びたくなる存在です。

ほうじ茶と抹茶と煎茶の違い

海外で「次の抹茶」と呼ばれているからこそ、両者が実際どれほど違うのかを整理しておく価値があります。

抹茶は、覆下栽培の茶葉を細かく挽き、お湯に点てて葉ごと飲むお茶です。鮮やかな緑、豊かなうま味、そして葉まるごとのカフェインとテアニン。抹茶完全ガイドで紹介した、あの集中力の高まりをもたらすのはこのためです。朝や日中にふさわしい、鮮烈で存在感のあるお茶です。

煎茶は、急須で淹れる日本の標準的な緑茶。明るく青々しく、ほどよい渋みと春のような爽やかさがあり、湯温に気を配るほど応えてくれます。

ほうじ茶はその対極です。焙煎によって青さと渋みの大半、そしてカフェインのかなりの部分が取り除かれます。残るのは温かく香ばしい、ほんのり甘い味わい。緑茶の仲間というより、マイルドなコーヒーや麦茶に近い佇まいです。抹茶が朝を研ぎ澄ますなら、ほうじ茶は夜をやわらげる。両者は競合ではなく、一日の両端を支える相棒同士であり、海外でほうじ茶ラテに夢中になっている人たちの多くは、要するに「もっと穏やかでくつろげる抹茶習慣」を見つけたのです。

なお、粉末ほうじ茶もあります。抹茶と同じように挽かれ、ラテや製菓に同じ感覚で使えますが、味わいは若葉ではなくキャラメルとトースト。パティシエたちがこぞって採り入れているのも納得です。

カフェインの話: なぜほうじ茶は夜に向くのか

ほうじ茶のやさしさは売り文句ではなく、二つの実際の仕組みが重なった結果です。

第一に、原料です。ほうじ茶の多くは番茶や茎茶、つまり成熟した葉と茎から作られます。これらの部位は、高級な煎茶や玉露に使われる若く柔らかい新芽に比べてもともとカフェインが少なく、特に茎は際立って低カフェインです。お茶のカフェインのガイドで解説したとおり、茶葉が樹のどの部分かは、淹れ方と同じくらい重要なのです。

第二に、焙煎そのものです。カフェインは焙煎の高温で分解・昇華し始めるため、ほうじ茶の香りを育てる工程が、同時に刺激成分も静かに飛ばしてくれます。

その結果、一杯あたりのカフェインはおよそ20mg以下。煎茶の約3分の1、濃いコーヒーの約10分の1にとどまります。子どもにも出され、夜にも誰も気にせず注がれるのはこのためです。とはいえ完全なノンカフェインではないので、特に敏感な人は就寝直前にはルイボスやカモミールといった本当のノンカフェインティーのほうが安心です。それでも、夕食後の長い時間帯に「温かくて深みがあるのに、眠りの邪魔をしない一杯」が欲しいなら、ほうじ茶ほどその隙間を埋めてくれるお茶はほとんどありません。本物のお茶の奥行きがあって、覚醒作用はほぼゼロなのですから。

ほうじ茶のおいしい淹れ方(ホット)

ほうじ茶は世界でも指折りの、失敗しにくいお茶です。他のお茶ならミスを容赦なく罰する苦みが、焙煎の段階ですでに取り除かれているからです。以下でたっぷりマグ1杯分になります。

  1. 茶葉は多めに。 カップ1杯につき、山盛り大さじ1杯(約3g)を目安に。焙じた茶葉は軽くてかさばるので、遠慮は無用です。少なすぎると薄く水っぽい一杯になり、これがほうじ茶でいちばんよくある失敗です。

  2. お湯は熱く、ためらわずに。 煎茶と違い、ほうじ茶には90〜95℃のしっかり熱いお湯が合います。高温で壊れてしまう繊細な成分は焙煎ですでに失われており、残った香ばしい香りはむしろ熱で花開きます。守るべき繊細な温度帯がない、温度ガイドで扱った神経質な温度管理と比べれば実に気楽なお茶です。

  3. 抽出は短く、30〜60秒。 ここで驚く人が多いのですが、ほうじ茶は驚くほど早く出ます。30秒でもう、琥珀色の香ばしい一杯が注げます。2分まで延ばせば、本格的な苦みは出ないまま、より深く濃い焙煎感が手に入りますが、甘みはいくらか失われます。30秒と2分の差は、このお茶の人格そのものの差です。

  4. 二煎目、三煎目まで楽しむ。 よいほうじ茶は二煎、三煎と無理なく出せます。一煎ごとに10〜15秒ずつ延ばしてみてください。深い焙煎香が落ち着くにつれ、後の煎ほど丸く甘くなっていくのがわかります。コツはお茶を二煎目以降もおいしく淹れるガイドにまとめています。

一杯の性格が分単位ではなく秒単位で変わるお茶だからこそ、勘で淹れるのはもったいない。Steepアプリなら、同じ40秒の抽出を毎回正確に再現したうえで、バリスタがエスプレッソを調整するように、少しずつ好みの香ばしさへ追い込んでいけます。

アイスほうじ茶とほうじ茶ラテ

ほうじ茶の焙煎香は、どの緑茶よりも冷やしても崩れません。人気を牽引している現代的な飲み方は二つ。どちらも家庭で作る価値があります。

アイスほうじ茶。 いちばん手軽なのは、アイスティー完全ガイドで紹介した「濃いめに淹れて氷に注ぐ」方法です。2倍の濃さで1分抽出し、氷をたっぷり入れたグラスに一気に注ぎます。よりまろやかで、どこかチョコレートを思わせる味わいが好みなら水出しを。茶葉をひとつかみ、1リットルの冷水に入れて冷蔵庫で6〜8時間。水出し茶のガイドで解説した、あのやさしい抽出そのものです。アイスほうじ茶は、アイスティーと軽めの水出しコーヒーの中間のような味わいで、カフェインの心配はほとんどいりません。

ほうじ茶ラテ。 ブームの主役です。理由は明快で、焙じたお茶と温かいミルクは、コーヒーとミルクと同じくらい自然な組み合わせだからです。粉末があれば、小さじ1杯を少量の熱湯で滑らかなペーストに練ります。茶葉から作るなら、大さじ3杯を熱湯1/2カップで2分淹れて濃いめの抽出液に。あとはスチームした、あるいは泡立てた好みのミルクを注ぎ、軽く甘みを足します。白砂糖よりも、メープルシロップや黒糖、きび砂糖のほうがキャラメルの香りを引き立てます。味わいはデザートコーヒーのようなのに、カフェインはほんの一部。「ラテの時間は楽しみたいけれど、夜9時の動悸はいらない」という人たちの、午後と夜の定番になったのも当然です。

ほうじ茶の選び方と保存

お店で役立つ言葉を少しだけ整理しておきます。

リーフのほうじ茶が標準形です。栗色の大ぶりな茶葉で、原料の茶で呼び分けられることもあります。番茶ベースは深くしっかりした、定番の日常スタイル。茎を焙じた**茎ほうじ茶(棒ほうじ茶)**は、軽くて甘い、蜂蜜を思わせる一杯になり、カフェインは通常もっとも低くなります。煎茶ベースのほうじ茶は高級路線で、焙煎香の下にコクと複雑さが控えています。

粉末ほうじ茶はラテと製菓用です。仕上がりを自分で調整したいなら、加糖の「ほうじ茶ラテミックス」ではなく、純粋なほうじ茶パウダーかどうかを確認しましょう。

例によって、ティーバッグよりリーフがおすすめです。理由はリーフティーとティーバッグの比較で詳しく述べています。そして鮮度は、ほうじ茶では本当に重要です。命である焙煎香は空気と時間とともに抜けていき、段ボールのような平板な味だけが残ります。少量ずつ買い、お茶の保存ガイドのとおり密閉して光と熱を避け、開封後は数か月以内に飲み切るのが理想です。

ほうじ茶はこんな人にこそ

ほうじ茶はどの家の茶棚にも居場所のあるお茶ですが、特に向いている人がいます。夕食後の温かい一杯の時間が好きなのに、カフェインのせいで眠りを削られている人。コーヒーからお茶へ歩み寄りつつある人。焙煎の深みに、きっとすぐ親しみを覚えるはずです。煎茶を何度か試して「青臭くて尖っている」と感じた緑茶懐疑派。ほうじ茶は、その苦手な要素がすべて焙じ飛ばされた緑茶です。そして、抹茶ラテに恋をしたあとで、もっと穏やかでくつろげる相棒を探している人。

初心者に最適な最初のお茶としても文句なしです。安く試せて、まず失敗せず、最初の一杯から心地よく、必要なのは熱いお湯と、きちんと計った約40秒だけなのですから。

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静かなお茶の、にぎやかな転機

ほうじ茶の突然の脚光には、どこか痛快なものがあります。余り物を活かすために生まれ、一世紀にわたり食堂で何気なく注がれてきたお茶が、抹茶の発音をようやく覚えたばかりの海外の街で、いまいちばんおしゃれな一杯になっているのです。ブームはいずれ落ち着くでしょう。ブームとはそういうものです。けれど、その下にあるお茶そのものは変わりません。温かく、香ばしく、寛容で、眠りにやさしい。

おいしく淹れる技術は、突き詰めればごくわずかです。多めの茶葉、しっかり熱いお湯、そして勘ではなく秒で計る短い抽出。この3つさえ押さえれば、ほうじ茶はお茶の世界でも指折りの、心安らぐ一杯で応えてくれます。今夜も、明日の夜も、午前3時の後悔なしに。

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