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玉露のすべて:覆いをかけて育てる日本最高峰の緑茶ガイド

11分で読めるSteep Team
玉露のすべて:覆いをかけて育てる日本最高峰の緑茶ガイド

玉露の淹れ方を書き出すと、どれも書き間違いのように見えます。お湯はぬるま湯に近い60℃前後。急須は60ml、エスプレッソ一杯分にも満たない量。その小さな器に、多くの人がマグカップ一杯分に使う量を超える5グラムもの茶葉を入れます。そして2分待ち、スプーンですくったほうがいいのではと思うほど濃く緑がかった液体を、大さじ数杯ぶんだけ注ぎ出すのです。

それでも、書かれたとおりにやってみてください。出てくるのは、多くの人が思い浮かべる「お茶」ではありません。渋みはなく、青々とした刺激もなく、ミルクや砂糖でやわらげる必要もない。あるのは甘みと、飲み物というより上等な出汁に近い旨みの厚み、そして飲み干したあとも一分ほど舌に残る余韻です。玉露は日本でいちばん高価な日常のお茶であり、いちばん誤解されているお茶でもあります。理由は単純で、多くの人が玉露を玉露としてではなく、ふつうの緑茶として淹れてしまうからです。この記事では、玉露とは何か、収穫前の三週間の遮光が茶葉に何をしているのか、煎茶や抹茶とどう違うのか、本式の淹れ方と普段づかいの淹れ方、そして買うときの見極め方までを解説します。

玉露とは何か

玉露(ぎょくろ、「玉のような露」)は覆い下で育てる日本の緑茶で、作り方は煎茶とほぼ同じです。違うのは畑での工程がひとつだけ、しかしそれが決定的です。春の収穫前のおよそ20日間、農家は茶樹を藁の菰や化学繊維の被覆資材で覆い、直射日光を9割ほど遮ります。そのあとは日本茶の標準的な工程そのもので、摘んだ葉を数時間以内に蒸して酸化を止め、細く濃い針状に揉み、乾燥させます。

この農作業上のひとつの判断が、玉露という茶のすべてです。何かを加えるわけでも、特別な品種が必須なわけでもなく、加工自体はごく一般的。玉露とは、茶の樹から光を奪い、その慌てぶりを味に変えたお茶なのです。

そして希少です。玉露は日本の茶生産量の一パーセントをかなり下回ります。被覆には手間がかかり、収穫は春の一番茶に限られ、最上級の茶葉は今も芽と若い二葉を手摘みしているからです。産地の代表格は、12世紀から日本茶の精神的な中心地であり続ける京都・宇治、全国茶品評会で驚くほど深みのある玉露を出し続ける福岡・八女、そして静岡の朝比奈。産地や香味の詳細は玉露のティープロフィールにまとめています。

覆いが茶葉に何をしているのか

ここでの化学は理解しておく価値があります。このあとの淹れ方の決まりごとは、すべてここから導かれるからです。

茶樹はアミノ酸のひとつであるテアニンを根でつくり、葉へ送ります。日光を浴びると、葉はそのテアニンを少しずつカテキンに変えていきます。カテキンは渋みと苦み、そして茶の抗酸化作用の評判の大部分を担うポリフェノールです。カテキンは植物にとって日焼け止めのような役割も果たすので、光が強いほど多くつくられます。

光を遮ると、この変換はほとんど止まります。テアニンは消費されずに葉へ蓄積し、カテキンは低いまま。テアニンは甘く旨みのある味、カテキンは苦く口を乾かす味なので、被覆は味の均衡をまるごと旨みの側へ傾けます。よくできた玉露は、日光で育った一般的な緑茶の数倍のテアニンを含むこともあります。

覆いの下では、ほかにも二つのことが起こります。ひとつは、暗さを補おうと茶樹がクロロフィルを増やすこと。玉露の茶葉があの黒に近い濃緑色で、水色が輝いて見えるのはこのためです。もうひとつは、覆い香(おおいか)と呼ばれる独特の香りが生まれること。海苔と生クリームの中間のような、甘く海を思わせる香りで、日光で育った茶には決して現れません。一度この香りを覚えると、きちんと覆いをかけた茶かどうかを最も早く見分けられるようになります。

一方でカフェインは高いままです。若い芽は茶樹の中で最もカフェインが多い部分であり、玉露はその年のいちばん若い芽からつくられます。結果として、多量のカフェインが多量のテアニンとともに届くという珍しい組み合わせが生まれます。これはまさにテアニンとカフェインの相乗効果で扱っている関係です。

玉露、煎茶、かぶせ茶、抹茶の違い

日本の緑茶の系統は、日照量というひとつの物差しで並べると理解しやすくなります。

煎茶は日光下で育てます。すっきりと青々しく、明るく、澄んだ渋みの切れがあります。70℃前後で淹れる、日本の日常のお茶です。

かぶせ茶は部分的な被覆で、ふつうは軽い資材で7日から10日ほど。ちょうど中間に位置し、煎茶より旨みとコクがあり、玉露より明るく、値段もずっと控えめです。玉露に惹かれるけれど価格が気になるなら、正直におすすめできるのがかぶせ茶で、淹れ方の許容範囲も広めです。

玉露は約20日間の深い被覆。テアニンは最大、渋みは最小、味は厚く、淹れる湯温は低くなります。

抹茶は玉露と同じく覆い下で育てますが、加工で道が分かれます。抹茶用の覆い下茶葉は碾茶(てんちゃ)と呼ばれ、蒸したあと揉まずに乾かし、茎と葉脈を除いてから石臼で挽いて粉にします。茶筅で点てて葉ごと飲むので、浸出して漉す玉露とは飲み方が違います。つまり抹茶と玉露は同じ覆いの下で育った兄弟で、片方は粉にして丸ごと、もう片方は湯に浸して味だけをいただくわけです。粉の側については抹茶の完全ガイドで詳しく扱っています。

中国緑茶や残り五つの分類も含めた全体像は、お茶の種類の解説をご覧ください。

玉露の淹れ方

本式の淹れ方

これは玉露という茶が前提としている淹れ方で、一度はそのとおりにやってみる価値があります。

  • 茶葉: 5g(小さじ約2.5杯)
  • 湯量: 60ml
  • 温度: 60℃
  • 一煎目: 2分

小ぶりの急須か、まさにこのためにある取っ手のない宝瓶を使います。温度計なしで60℃にするには、沸かした湯を湯冷ましに移すか、器から器へ移し替えます。一度移すごとに5〜10℃下がるので、沸きたてなら四、五回は必要です。この手間は省けません。この一杯では温度が最大の変数だからです。理由は温度がなぜ重要かのガイドで詳しく説明しています。

茶葉の上に静かに注ぎ、かき混ぜたり揺すったりせず、時間が来たら最後の一滴まで注ぎきります。急須に残った湯は抽出を続け、次の一煎を台無しにします。

煎を重ねる「階段」

玉露は三煎から四煎楽しめますが、多くのお茶と違って、一煎ごとに湯温を上げていきます。葉が最初に手放すのは、いちばん出やすい甘みだからです。

  • 二煎目: 65℃、30秒。明るく、やや青みが増し、渋みがわずかに顔を出します。
  • 三煎目: 70℃、45秒。より青々として細身になり、それでも甘みは残ります。
  • 四煎目: 75〜80℃、60秒。軽くやわらかく、最後の一杯です。

濃度が落ちるにつれて湯温を上げるのは、小さな器で濃く淹れる方式に共通する型です。お茶の淹れ直し方工夫茶のガイドでさらに掘り下げています。

出がらしは捨てないでください。ポン酢や醤油を少し垂らして食べるのは昔からの楽しみ方で、覆い下の茶葉は本当においしく、残りかすというより味付けした青菜に近い一品になります。

氷出し

夏に試す価値のある三つめの淹れ方があります。器か小さな急須に5gの茶葉を入れ、その上を氷で覆い、20〜30分ほど放っておくだけ。溶けて落ちてくるのは大さじ一、二杯ぶんの、濃厚に甘くとろりとした滴です。苦みはほとんどありません。冷たい水はアミノ酸を引き出し、カテキンとカフェインの大半を葉に残すからです。覆いが茶葉に何をしたのかが、いちばん純粋な形で現れます。同じ原理を大きな量で使うのが水出し茶の作り方です。

普段づかいの淹れ方

60mlの急須を持っている人は多くありませんし、玉露を儀式のための茶にしてしまうのはもったいない話です。そこで、量を増やした許容範囲の広い版を。

  • 茶葉3gに対して湯100ml
  • 60〜65℃
  • 2分、最後まで注ぎきる

濃度も劇的さも本式には及びませんが、甘みと旨みはそのまま残ります。どの分量でも破ってはいけない唯一の決まりが湯温です。沸騰した湯を玉露に注ぐと、荒いカテキンが一気に出てアミノ酸を覆い隠し、棚でいちばん高価な茶葉を、スーパーのティーバッグ以下の味に変えてしまいます。

55℃と60℃のあいだ、90秒と2分のあいだに、出汁のような甘みと苦い失敗の分かれ目があります。しかも温度も経過時間も、人間の感覚が当てにならない領域です。Steepアプリには玉露のプリセットが入っていて、適切な目標温度と、煎ごとに湯温が上がる淹れ方の手順をそのまま収めています。iPhoneでも手首の上でも、時間はアプリに任せて、注ぐことに集中してください。

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カフェインと、玉露の静かな冴え

グラムあたりで見ると、玉露は多くの紅茶よりカフェインが多く、伝統的な濃い淹れ方なら茶液100mlあたりおよそ120〜140mgになります。この数字は一見おそろしいのですが、飲む量を思い出してください。本式の60mlなら60〜80mg程度で、小さめのコーヒー一杯ほど。それを小さな茶碗に分けて味わうわけです。

コーヒーとまったく違う感じ方になるのは、同時に届くテアニンのためです。多くの人が語るのは、興奮というより「静かに冴えている」状態で、角のない立ち上がりと、切れたあとの落ち込みのなさ。緑茶が知られているあの感覚を、そのまま濃くしたものです。仕組みについてはお茶のカフェイン頭をすっきりさせるお茶で詳しく扱っています。実用的な注意をひとつ。これは朝から昼過ぎまでのお茶です。カフェインは確かに入っているので、夕食後の玉露は眠りを遠ざけます。

高値づかみをしない玉露の選び方

  • 相応の値段を覚悟する。 本物の玉露は高価です。玉露と書かれた不自然に安い缶は、たいていかぶせ茶か、三週間ではなく数日だけ覆った茶葉です。かぶせ茶は良いお茶ですが、玉露ではありません。
  • 産地名を確認する。 宇治、八女、朝比奈が基準です。「日本産」としか書かれていない袋は、それ自体が情報です。
  • 品種を見る。 さみどり、ごこう、あさひ、おくみどりは玉露の代表的な品種で、真面目な作り手のしるしになります。
  • 一番茶のみ。 玉露は春の一度きりの収穫です。二番茶や秋摘みの表記があれば、それは玉露ではありません。
  • 茶葉を読む。 非常に濃い緑で艶があり、細い針状にきっちり揉まれ、袋を開けた瞬間に甘い海の香りが立つのが良い茶葉です。くすんだ色、黄ばみ、干し草のような匂いは古い証拠。
  • 少量ずつ買う。 二か月ほどで飲みきれる20〜50gの遮光された真空パックのほうが、棚で香りが抜けていく特売の缶よりずっと良い買い物です。

味わいと、うまくいかないときの見直し方

きちんと淹れた玉露は、濃く、わずかに濁った翡翠色に出ます。口当たりは厚く、ほとんどとろみを感じるほどで、浸出して飲むお茶でこの被膜感を出せるものは他にありません。味は甘く、深く旨みがあり、よく昆布出汁、蒸した枝豆、採れたての甘いとうもろこしにたとえられます。渋みはほとんどなく、余韻が長く続きます。

思ったような味にならないときは、原因はたいてい単純です。

  • 苦い、口が乾く: 湯が熱すぎます。55〜60℃まで下げてやり直してください。
  • 薄い、水っぽい: 湯が多すぎるか茶葉が少なすぎます。5gに60mlという比率は、本当にそのとおりです。
  • 平坦、粉っぽい、干し草のよう: 茶葉が古いか、保存が悪かった証拠。
  • 少し濁る: 正常です。柔らかい覆い下の葉から出る細かい粒子は欠点ではなく良い兆候です。

玉露は学ぶための茶としても優れています。何が悪かったかが即座に味に出て、直せばその場で消えるからです。味覚を鍛えている最中なら、テイスティングで味覚を育てるガイドと合わせて数週間続けてみてください。

正しい保存の仕方

覆い下の緑茶は、茶棚の中でいちばん傷みやすいものです。密閉して光を通さない容器に入れ、熱、光、湿気、そして香りの強いものから遠ざけてください。お茶は周囲のにおいをすぐ吸います。未開封の真空パックは冷蔵庫や冷凍庫でよく保ちますが、開ける前に必ず完全に室温へ戻し、茶葉に結露がつかないようにします。詳しくはお茶の正しい保存法をご覧ください。

それだけの手間をかける価値はあるか

玉露は、浸出して飲むどのお茶よりも多くを求めてきます。小さな急須、温度計または辛抱強い湯冷ましの手順、居心地が悪くなるほどの茶葉の量、そして注ぐのをためらうほどぬるい湯。その代わりに差し出されるのは、他のどの茶にもないもの、つまり食べ物のような厚みと旨みを持つ一杯であり、それは20日間ひとつの植物から日光を遠ざけただけで生まれています。

興味が湧いたら、八女か宇治の玉露を20gだけ買って、本式の淹れ方で三回続けて試してみてください。5g、60ml、60℃、2分。一杯目は驚き、二杯目で煎ごとに湯温を上げる意味がわかり、三杯目には、日本茶文化のひとつの分野がなぜ一枚の覆いを中心に築かれたのかが腑に落ちるはずです。

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